北菓楼・札幌本館(旧・北海道庁立図書館)が観光スポットとして人気の理由

1926年(大正15年)に開館した旧・北海道庁立図書館が、建築家・安藤忠雄氏によって北海道の有名菓子店「北菓楼」の札幌本館としてよみがえったニュースは以前から気になっていました。

何とか1回行ってみたいな・・・と思っていた矢先、札幌出張の際に時間が取れて、訪問してきました。

雨の中、札幌駅から歩いて向かいます。遠目からも大きな存在感・・・ありました。ドーリア式風の円柱が、1~2階まで通しオーダーとなっています。

エントランスや窓などの建具周りの装飾性の高さが、実にエレガントな雰囲気を醸し出しています。
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建物の内部に早速入ってみます。

 

「平成28年度 北海道赤レンガ建築賞」のモニュメントも飾っています。 sap2

階段室は実に重厚です。昔の公共建築に共通する地域のシンボル性を意識したデザインを内部のディテールにも感じます。正方形の幾何学模様がモダンな風味を加えています。sap3

2階がティールームになっているとのことで、階段を上ってみると素晴らしい空間が広がっています。

重厚な石とレンガの素材感の中に、不釣り合いなくらい華奢な円柱と曲面のある白い天井が吹き抜けの空間にうまい具合にはまっています。

その結果、ふわっとした実に軽やかな気持ちの良い空間を作り出しています。
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ここが図書館という知の広場だったことを喚起させるのは、壁にそそり立つ本棚だけではないでしょう。

全体を貫くデザインコンセプトが、この建築が商業施設以外のDNAを持っていることを伝えています。

と、ここまでは自分のもとゼネコン、一級建築士としての視点です。

その一方で、今の本業であるマーケティング企業の経営者としての視点は何かというと、SNSで拡散しやすいツカミが実に豊富ということです。

これはあらゆる観光客を相手にする施設が参考となるエッセンスがちりばめられていると思うので詳しく書きたいと思います。

具体的には

  1. 新旧の魅力が混在している → ギャップの魅力
  2. デザインがよい → 画像がSNSで拡散しやすい
  3. 有名人(この場合は著名建築家)がからんでいる → 人名の検索キーワードにニーズがありネット上で発見されやすい。
  4. 体験性が豊か(モノ+コト) → 空間を楽しむ、お土産を買う、アイスクリームを食べる等、体験のバリエーションが広く、SNSのトピックスとして情報をUPしやすい。
  5. 現地まで行きやすい → 他人にリコメンドしやすく、また観光客が気軽に行ける観光地として情報が検索されやすい。

自分がこのブログを書いているのも、まさに上記の条件を満たしていたからです。

そして1~5に共通するものとして「意外性」のキーワードを挙げたいと思います。

意外性が感動につながり、その情報を誰かに伝えたいと思う気持ちは情報発信のモチベーションとしては強力です。

SNSウケを狙った奇抜な情報も、変化球として有効に使うべきかと思います。

しかし、商品力やサービス力の強さをベーシックとした「意外性」→「感動」→「口コミやSNS拡散」のフローは、経営者が絶対忘れてはいけないものと考えます。

ともあれこちらのお店は一見の価値ありですので、札幌に行く機会があったらぜひ足を運んでいただきたいと思います。
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